こんにちは!イグサ農家の「イグサのたかちゃん」です。
今回は、僕たちが育てている「イグサ」が、どうやって畳表になっていくのか。そのすべての工程をご紹介します。
畳は日本の暮らしに寄り添ってきた大切な文化。
でも、その畳のもとになるイグサが、どんな風に育ち、どれほど手間ひまかけて織られているのか…意外と知られていないんですよね。
この記事を通して、イグサと畳の魅力、そして僕ら農家のこだわりを感じていただけたら嬉しいです!
1.育苗・苗堀り(8月〜11月)1) Raising seedlings and digging for seedlings

い草は種から育つものではなく、株分けを2回くり返して育てる作物です。最初は、苗を育てるところから始まります。8月に畑(苗床)に植え付けられた苗を掘り出し水田苗床へ植付け育苗します。
それを11月下旬に掘り出し、根を切ったり、株分けをしたりして、本田(ほんだ)への植え付けに備えます。
まさに畳表作りの“土台”を築く、大切なステップです。
この時期に強い苗に育てておくことが、のちのイグサの質に大きく関わってくるんです。
2. 植え付け(11月下旬頃)1) Planting (around December)
イグサの植え付けは、冬の寒い時期から始まります。
田んぼに溝を作り、いぐさ移植機で苗を植えていきます。霜が降りるような寒さの中でも、イグサは根を定着させていくんです。
ここでしっかり植え付けをしておかないと、まっすぐで美しいイグサには育ちません。

3. 生育管理(春〜初夏)3)Fertility management (spring to early summer)
春になると、イグサは一気に成長を始めます。
この時期は、水の管理や草取りが欠かせません。田んぼが乾きすぎないように水を張り、栄養がしっかり届くように雑草も手作業で取り除いていきます。
まるで子どもを育てるように、毎日観察しながら、その日の天気や気温にあわせて調整していきます。
4. 先刈り(5月上旬)4)First cutting (early May)

春になってイグサがぐんぐん伸びてくると、先っぽの部分を刈り取ります。これは「先刈り」といって、根元に日光をしっかり届けるための作業です。
45日前くらいに出た芽が一番長くて質がいいとされていて、そのために新芽を元気に出させる工夫なんです。
5. 網張り(5月中旬〜)5)netting (from mid-May)
イグサは最長で150センチ以上にも育つため、風や重さで倒れてしまわないように、田んぼ一面に網を張ります。
網の目をくぐってまっすぐに成長していく姿は、何度見ても感動します。

6. 収穫(6月下旬〜7月上旬)6) Harvest (late June to early July)

初夏になると、イグサは1メートルを優に超えるほどの高さになります。
この頃が、収穫のタイミング。網を取り、いぐさの鮮度を保つため、刈り取りは気温の低い早朝や夕方に行います。
刈り取った後に、イグサを束ねて運び出します。
収穫したイグサはすぐに「泥染め」へと進みます。ここからが本格的な加工のスタートです!
7.泥染め 7)Mud dyeing
イグサはそのままでは畳になりません。
まずは「泥染め」という工程で、専用の天然染泥を使って染めていきます。
この泥染めによって、イグサに独特の色合いや光沢が出て、強度も増すんです。
昔ながらの知恵と技術が生きている、イグサ作りの要とも言える工程です。

8. 乾燥8)Drying

泥染めを終えたイグサは、すぐに乾燥機に入れ、水分を飛ばしていきます。
ここでの温度と時間の管理がとても重要。高すぎても低すぎてもダメなんです。
18時間程度乾燥させることで畳特有の香りや性能が一層際立ちます。職人の勘と経験で、しなやかで折れにくい、いいイグサに仕上げていきます。染土が舞うなかなので、全身真っ白になります!
9.選別・保管9) Sorting and storage
乾燥が終わったら、製織する畳表の銘柄にあわせて、選別機に通し、長さごとに振り分けます。さらに傷や枯れの見落としがないかどうかを一本一本、目で確認します。
選別を終えたイグサは、日焼けを防ぐために倉庫で袋に保管しておきます。
この作業を経て、いよいよ“織り”の作業が始まります。ここから畳表っぽくなってきますよ。

10. 製織(せいしょく)10)Weaving

選別したイグサを、何本も細かく糸を張った専用の織機を使って一本一本、丁寧に畳表へと織り上げていきます。
一畳の畳表を仕上げるまでに約1時間半かかります。
この製織作業は、僕たち自身が一年を通じて手がけています。
11.仕上げ11)Finishing
織りあがった畳表は、そのまま出荷…ではありません。
ここからが、僕たちイグサ農家のもう一つの顔、職人としての仕事です。
一枚一枚を広げ、目立つ傷や織りムラがないかをすべて目で確認していきます。イグサの特性を誰よりも知っているからこそできる仕上げの技。僕たちは、栽培から仕上げまでを一貫して行う“農家兼職人”なんです。
この手作業のチェックこそ、畳表の品質を支える最後の砦。丁寧に仕上げていきます。

12.検査・出荷12) Inspection and shipment

仕上げた畳表は、厳しい検査を受け、品質によって等級分けされます。
そして、全国の畳店さんやお客様のもとへ出荷されていきます。
自分たちの手で育て、織り、仕上げた畳表が、遠くの誰かの暮らしを支える。
この瞬間が、僕たちイグサ農家にとっての誇りであり、やりがいなんです。
■一本のイグサに込めた想いThoughts on a single igusa plant

イグサを苗から育てて、畳表に織り上げるまでには、約2年。本当にたくさんの手間と時間がかかります。
でも、その分だけ、僕たちの思いもぎゅっと詰まっています。
畳の上に寝転んだときの心地よさ――それは、自然の恵みと、農家の手仕事の結晶なんです。
ぜひ、そこかで畳を見たときに、「これって、どんな風に作られたんだろう?」とちょっと思い出してもらえたら、嬉しいです。
これからも、畳の魅力、イグサの可能性、そして農家のリアルをどんどん発信していきます!
また次回も、お楽しみに🌿
